マタハラNetでは2015年1月、過去にマタハラ被害にあった当事者女性を対象に、日本で初めてのマタハラ被害実態調査を実施しました。以来、マタハラに対する認知度のアップ、マタハラに関連する法の改正、マタハラ防止措置の義務化など、国の動向や日本における「マタハラ」への認識や意識が変化していますが、正規・非正規雇用にかかわらず、妊娠・出産・子育てをしながら働き続けることに対して「周りに理解してほしい」と考える人が多いことが、この調査結果から分かります。特に非正規で働く女性たちは、「非正規だから育休制度が利用できない」と思い、妊娠したら仕事を辞めるのが当然であると考えて退職した人がいる現状も浮き彫りとなっています。事業主はもちろんのこと、雇用される側も、法令や社内の就業規則などをしっかりと理解し、どのようなルールの下働いているのかを知ることこそが、マタハラをなくす一歩になります。マタハラ防止研修では、マタハラそのものについての知識研修、事例検討のみならず、法令に対する知識、社内における時短勤務や休暇制度の紹介、情報共有等も併せて行い、家庭と仕事の両立支援の充実した職場環境の整備することも必要です。
※より詳しいデータは、マタハラ調査結果を参照ください。

調査方法:マタハラNetのウェブサイトよりインターネット調査 / 実施期間:2015年1月16日〜26日 / 有効回答数:186件 / 年齢:22歳~72歳までの女性 / 雇用形態別 回答者割合:正社員 約70%・非正規社員 約30%

マタハラの加害者

加害者1位は直属上司、マタハラする同僚は男性より女性のほうが多い

  • 第1位「直属男性上司」、第2位「男性の経営層」「人事」、第3位「直属の女性上司」
    加害者に「人事」が入っており、マタハラを防ぐ役割の人事部門自体が法律順守の意識が低いケースが見られる。
  • マタハラをする同僚は男性より女性が2倍多い。男性9.1%、女性18.3%。

 

所属事業体の規模

「マタハラは小規模企業で起こること」のイメージは誤り

  • 社員規模別にみると、「10~100人」約32%、「100~500人」約19%、「1000人以上」約13%と大差ない。

 

上場、非上場問わず

  • 東証一部上場企業35件、全体の約19%

 

職種別にみると…

  • 「一般事務」約13%、「医療サービス系、福祉・介護・栄養系」約12%、「教師・講師・インストラクター系(保育士・幼稚園教諭含む)」11%、「広告・グラフィック系、編集・制作系、WEB・インターネット系」も合わせて約12%
  • 「医療・福祉介護サービス系」特に病院勤務の女性からマタハラNetへ寄せられる相談件数が多い。慢性的な人員不足で、一人欠けることが死活問題となることから、人が抜けることを良しとしない風土があると考えられる。

 

マタハラを生む職場環境

休めない、残業当たり前の長時間労働がマタハラを生む

  • 「残業が当たり前で8時間以上の勤務が多い」約38%、「深夜に及ぶ残業が多い働き方」約6%
  • マタハラ被害者の約44%が長時間労働が当たり前の職場に。マタハラの原因の1つと考えられる。

 

マタハラ言動を受けた後の社内の対応

人事、上司には相談できない。相談するとかえってさらなるマタハラに…

  • そもそも上司・人事に相談しづらい。相談するのはごくわずか
  • 社内の人に相談しなかった理由第1位「相談できるような人柄の人がいなかった」
  • 社内に相談しても「対応されずそのままにされた」が第1位。
  • 「余計に傷付く言葉を言われた」「不利益を強要された」を含めると、かえってさらにマタハラされるケースが大半を占める。

 

 

マタハラ発生要因と予防策

マタハラ被害者が望むことは…

  • 「経営者・マネジメント層に対して女性活用の重要性や法律の知識、子育ての現状などを周知してほしい」約53%