「マタハラ」とはマタニティハラスメントの略で、厚生労働省の「ハラスメントの類型と種類」によると、2つのタイプに分けられます。

状態への嫌がらせ型

妊娠・出産・育児などにより就労状況が変化したことなどに対し、嫌がらせをする行為

 例)妊婦はいつ休むかわからないからと、雑用しか与えられなくなった

制度等の利用への嫌がらせ型

出産・育児・介護に関連する社内制度の利用に際し、当事者が利用をあきらめるざるを得ないような言動で、制度利用を阻害する行為

 例)男性社員が育児休業を申し出たところ、「育休をとるならそのまま辞めてもらう」と言われ、取得を諦めざるを得なくなった。

「マタニティ」という言葉から、妊娠中の女性に対してのみ行われるハラスメントと捉えられがちですが、マタハラは決して妊娠する女性だけの限定的な問題ではありません。妊娠前(不妊治療中)からの嫌がらせ、出産後職場復帰してから、子育て中や親の介護中である人に対する嫌がらせを含みます(これについては男性がターゲットになる場合もあります。)さらに、マタハラは流産や早産につながる可能性もあるため、命の危険にも及んでしまう大変深刻なハラスメントです。妊娠中の従業員がマタハラを受けたことにより心身に影響を及ぼした場合、事業主は安全配慮義務違反(労働契約法第5条)、使用者責任(民法715条)嫌がらせをした当事者には不法行為として損害賠償責任が伴う可能性もあります(民法709条)。
 男女雇用機会均等法が改正され、2016年1月よりマタハラの防止措置がどの事業主にも義務化されています。職場でマタハラが起こる前に、未然に防止し、どんなライフステージにあっても、誰もが働きやすい職場環境を整備することが求められます。