妊娠・出産を契機とした異動は、マタハラにあてはまらないのでしょうか?

大学の講師です。春に第2子を出産し、その4か月後より復職しています。
復帰後1か月がたったころ、上司より育児のこと、両親が遠方にいるため育児を手伝ってくれる人がいないことを理由に、非常勤になることを勧められました。それを断ると、同じ法人内での異動を暗に勧められました。
理由は主人も同じ大学で講師をしており、夫婦同じ職場での勤務は認められないからということでした。
同じ法人内の異動でも、研究職への異動なら納得できますが、専門学校もしくは 高校への異動になると、研究職ではなくなるので困ります。職業規則には異動もありうるとは書いています。
この場合、夫婦どちらかが異動を受け入れないといけないのでしょうか。非常勤になることを勧められるのはマタハラになると思いますが、関連した異動はそれにあてはまらないのでしょうか。

本来ならば法律相談は、背景となる事情や業務内容を詳細にお伺いしないと責任ある回答ができないものです。
ですから、一度お時間をとって弁護士に資料等も見てもらいながらじっくりとご相談することをおすすめします。
少ない情報の中でできる簡単なアドバイスのみさせていただきます。
非常勤になるよう勧めることはマタハラであり、それに従う必要はありません。毅然と断るべきです。
同じ法人内での異動については、配転の可否の問題になります。
配転は、一般的には法人の裁量が広く認められがちですが、①業務上の必要性、②人員選択の合理性、③異動の動機・目的、④異動による不利益、⑤その他の事情などを総合的に見て、権利濫用になる場合は無効です。
同じ職場での勤務は認められないという制度や慣習が本当にあるのか、どういった弊害があるのか、過去の異動実績、研究 職から外されることによる労働条件・業務内容上の不利益、そして何よりも真の動機が出産・育児なのかどうかによって結論は変わってくると思います。
異動の理由が、出産・育児であるということが明確にわかれば不利益処分ということも可能かもしれません。法人とのやりとりはすべて録音しておくことをおすすめします。


2014年10月22日更新 担当弁護士:新村 響子