<寄稿 一般>サポートをする周りのことも考えて!

マタニティハラスメントの、被害者を妊婦さんのみ、と考えるべきではない。そこに、この問題を解決していくためのヒントがあるのはないか?と思う。

私自身は、結婚も出産も未経験で、子育てをしながら働く苦しみを本当には理解することは出来ない。むしろ私は育児中の人と一緒に仕事をすることの大変さ…無神経な言い方をすれば、その“迷惑さ”を感じてきた側の人間。子供は大大大好きだし、子育てしながら働くママたちを尊敬しているし、いつか自分も恵まれることがあればとても嬉しい。妊娠出産したら仕事をやめろ、なんて決して思わない。けれど、仕事を第一優先にできない相手と働く時の辛さはよくわかる。お迎えだから今日は5時まで…子供が熱を出したから今日はおやすみ…そう言う先輩に、仕方がないとは思っても、そのせいで残業時間やキャンセルした約束の数が積み上がっていく…『どうして私が』と、思わずにはいられなかった。 

子供を産むということは、重大な人生の選択で、何かを選択するということは、やっぱり代わりに何かを捨てるということでもあると私は思う。それはネガティブなことではなくて、ただの引き算。エネルギーのうち、「仕事に70%使えます」というひとと、「わたしは30%です」というひとで評価が変わるのはあたりまえ。今まで仕事に使えていた時間を子供に向けるということを選択した以上は、会社の評価を今までどおり、というのは、虫のいい話。それは当然だと思う。(もちろん、妊娠を理由に暴言を吐かれたり、辞めさせるなんていうのは論外でも)代わりに苦労を強いられる人がいるのは事実なのだから。

子育てをしながら働く人の苦労を理解するのは大切。そしてそれと同じように、その人をサポートしなければならない人間の苦労も、理解するべきなのだと思う。このひとたちだって社会の「被害者」だ。『出産は社会のためでもある!サポートするのは当然!!』それは確かに本当のことだけど、いくらそれを言っても、子供がいない相手(特に、欲しいとすら思っていない相手)にとっては、どうあがいても〝迷惑″なのだということは、変えられない。それをまずは認めることが第一歩じゃないだろうか。そして、その迷惑さを少しでも緩和できる方法を探すことが必要なのだと思う。たとえば、子育てをしているママがいる会社には何か助成がある…であるとか、サポートをするスタッフ自身に何か特別な処置があるであるとか…性善説に頼らない、見返りになるような制度が必要だと感じる。

自分が今と逆の、子育てママ側になった時に、相手にも辛い思いをさせることのないためにも、子供を産む女性と同じように、それ以外の人間にも働き方を選ぶ権利を確保してほしい。

伊勢谷 ゆう(広告代理店 営業職 女性 未婚 32歳)

<寄稿 一般>サポートをする周りのことも考えて!” に対して2件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    同じように思います。
    誰もが有給を取りやすく、残業も少ない(勿論サービス残業でない)職場であれば、そもそも子育てはしやすく、子どもがいない社員の負担も少ないのでしょうが。
    独身で、または子どもがいないことで、いる人から、辛辣なセクハラを受けることも日常茶飯事です。
    マタハラ加害者は、同僚なら同性にも多いと言いますが、セクハラ加害者が同性であることも少なくありません。
    人間らしい生活のために労働環境の改善と、立場が違う人への理解と配慮、何より必要だと思います。

  2. 匿名 より:

    これは妊娠、出産に限ったことではなく、病気や事故や怪我でも同質のことですね。
    伊勢谷さんが病気や事故や怪我で一時的に勤務出来なくなってしまったときに、上司や同僚から 「迷惑だ」 と言われたらどんな気持ちになりますか?

    伊勢谷さんはもしかしたら今後も妊娠、出産はなさらないお考えなのかも知れませんが、病気や事故や怪我は伊勢谷さんにも起こり得ることです。

    妊娠、出産だけをことさらに特別視して 「迷惑だ」 と言い放つことは筋が通らないのではないでしょうか。
    それとも伊勢谷さんは病気や事故や怪我であっても 「迷惑だ」 と言われて然るべきだとお考えでしょうか。
    ご自分が言われても納得して尤もだと思えるのでしょうか。

    「迷惑だ」 という気持ちを向けるべきなのは、妊婦さんへではなく会社へではないでしょうか。

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