経営者online 年間3000件にのぼる「マタハラ」被害、企業に求められる女性の働きやすい環境作り

年間3000件にのぼる「マタハラ」被害、企業に求められる女性の働きやすい環境作り

マタハラによる被害

そもそもマタハラは、労働者権利の理解不足から生じる

マタハラに対する批判的な見解として、会社にとってメリットのない人材は、降格や解雇もやむなしという考えがある。確かに経済合理性からみれば、同じ労働力であるなら安い方が良いし、病気や妊娠により労働力が低下した場合には、降格や解雇は合理的な判断だとなるのかもしれない。
 しかし、労働契約は高度の信頼関係を基礎とする継続的契約であり、不可抗力によって労働力が低下したからといって、一方的に契約を解除できる性質のものではない。また職務上の地位は、会社が恩恵的に裁量として与えるものではなく、勤続年数や能力に応じて付与されるもので、一度付与された場合には一定の権利が発生し、不当に地位が奪われない利益が労働者側にはある。したがって、マタハラに対する批判的な考え方は、法の解釈を誤っており、近代社会における労働者の権利について理解が足りない。
 「セクハラ」、「パワハラ」、「マタハラ」といった根の深い問題に会社が対応するためには、内外に相談窓口を設置するとともに、管理職だけでなく、全社員に向けて啓蒙活動(研修等)を行うことが大事である。嫌がらせは上司からだけとは限らず、被害にあった場合に、声をあげることの重要性を知らしめることも重要だからである。