『マタニティマーク』 海外の事情は?
●アメリカ
アメリカには日本のようなマタニティマークはありません。
席が必要なときには、自分から積極的に乗客に声を掛けるようにするそうです。
●イギリス
ロンドン交通局は、妊婦が席を譲ってもらいやすいように、希望者に対しては”Baby on Board(赤ちゃんが乗車中)”と書かれたバッジを配布しています。
”Baby on Board”バッジの目的は、他人に席を譲って欲しいと願い出るときの気まずさを解消することと、優先席に座っている乗客に、いつ席を譲るべきか知らせること」と記載されています。
●カナダ(トロント)
日本と同じく優先席の対象に妊婦を含めています。と言っても、妊婦が含まれるようになったのは2013年10月からと、つい最近のことです。
このようにルールが整備されているトロントにあっても、妊婦が公共交通機関で席を譲ってもらうことは難しくなっており、トロント交通局は、乗客のマナー向上に苦心していると地元ニュースは報じています。
●まとめ
日本人の妊婦に対するマナーが特に悪いのではなく、今回調べた国々ではどこも似たような状況だということがわかりました。
厚生労働省はマタニティマークについて、「周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの」と定めていますが、これだと乗客側が一方的に配慮をしなければならないように捉えられ、批判の原因になりかねません。むしろ、ロンドン交通局が説明しているように、マタニティマークは「妊婦が座っている乗客に声を掛けるときの気まずさを解消するためのツール」だという認識を日本でも広めることができれば、妊婦側もお願いがしやすくなり、他の乗客もマーク着用者を受け入れやすくなるように思います。
マタニティマークに対する反感を和らげる上でもう1つ重要なのが、マークは「席を譲ってほしい」というアピールのためものだという誤解をなくすことです。マークを着ける大きな目的は、自分が妊婦であることを周囲に認識してもらうことです。