保育園の送り迎えができない勤務地への復帰を命じられました。

育児休暇明け10日前に、もとの職場ではなく、通勤時間のかかる職場(ドアツードアで80分ですが、待ち時間や混み具合、間に保育園への送迎もあり、105分以上かかります)に異動を発令されました。

本当は11月が復帰希望だったのですが、保育園の空きがなく4月になってしまい、ちょうど定期人事異動と重なったのが原因で、欠員となった部署に異動ということのようです。通勤時間が1時間45分以内なので、違法な異動ではないということで話もできません。退職勧告や降格ではありません。

結局、保育園の送り迎えや病気になった際、すぐに迎えに行けないので、退職せざるをえなくなりました。復職しようと思っていましたし、そのことを事前に伝えていただけに、ショックが大きいです。

過去の裁判例においては、異動命令に従うことになると、通勤時間が1時間45分を上回り、子供を保育園に預けて継続して勤務することが困難となるため、異動に伴う不利益が大きい旨主張した事案において、①会社が、原告との間で、通勤時間及び保育問題について十分話し合ってできる限りの配慮をしようと考えていたこと、②職場の近辺に転居したとしても、保育園の転園が容易であったこと、③昨今の住宅事情を考慮すれば、1時間45分を上回る通勤時間は、格別異を唱える事由とはいえないこと等を理由として、会社の異動命令を有効としています(東京地判平成5年9月28日労判635号11頁・ケンウッド事件)。

今回のあなたのケースは、③の事情は共通するところだと思いますが、①及び②の事情があるかを確認の上、もし、①会社が十分に話し合わず、何ら配慮を行っておらず、②保育園の転園が困難であるといった事情があれば、異動命令の有効性を争う余地があります。そのため、弁護士等の専門家に相談されるのがよいと思われます。