マタハラの事実を組織に伝えることは、組織の学びにもなる

なぜ、「子供を産み育てながら働き続けたい」という願いを実現することが、こんなにも困難なのでしょうか。必死に支援を求めても、逆に傷つけられたり、たらいまわしにされたり、ここまでしかできない、お気の毒だがルールなので、と投げ出されたりするばかりです。前向きに努力し続けても、ただただ疲弊する一方です。
しかしながら、あきらめないで交渉することには意味があると思っています。

支援機関等で得た情報等をもとに、職場で交渉を繰り返しているうちに状況が変わり始め、産休・育休を取得して復職できる見通しが立ちました。
管理職の机の上に、母性保護に関する冊子が置いてあるのを見かけるようになり、職場の構成員からは妊産婦の権利や制度を害するような言動がなくなり、とげとげしい雰囲気も徐々に緩和されていきました。
冒頭で私を勇気づけてくれた知人の
「あなたが直面している課題は、個人的な課題ではなく、働きながら産み育てたい女性の生き方やこれからの組織の在り方を問う課題でもある」という言葉には続きがあります。
それは「その事実を組織に伝えることは、組織の学びにもなる」という言葉です。
今回の件は、悪意から生じたトラブルではなく、職場の構成員の無知が1つの原因となり、生じていた感情的な摩擦だったのかもしれません。一つの部署で起きたことに過ぎませんが、これを契機に組織全体での理解が進み、雇用形態を問わず妊娠・出産・子育てする女性が働きやすい組織作りのきっかけなればと思います。
妊産婦が抱える労働問題は、介護や病気療養など様々な事情を抱えた労働者と共に働く組織づくりと多くの共通点があると言われています。
現実はまだまだ厳しい状況ですが、この経験をHPを見てくださった皆さんと共有することで、組織の枠を超えて、働く妊産婦の皆様や、職場の管理職の方々、そして支援機関関係者の皆様にとって、労働者の多様性を活かした働きやすい職場作りのきっかけになり、何らかの形でお役に立つことができれば幸いです。
(おわり)
ペンネーム:Kayoさん
対処方法:労働局雇用均等室への相談、複数の支援機関への相談、所属組織のハラスメント防止室の利用