<体験談 ゆかさん 3>マタハラで人生がこわされてしまう恐怖
主人に付き添われてホテルに着き、いざ挨拶しようとすると採用面接をしていました。タイミング悪いなーと思いつつ、私が在職中は採用面接 は大抵20分、長くて30分だったので他のスタッフにひとまず軽く挨拶し、外出して30分ほど時間を潰しました。戻ってもまだ面接中でした。きちんとした会議室や応接室があるような会社ではありませんので、ロビーでの採用面接の話はまる聞こえでした。私がいるのを分かっていて長引かせているように思えました。
1時間待ってようやく面接が終わりました。私は駈け寄って副支配人に挨拶しました。
私:「お忙しいのにすみません。ご挨拶が遅くなってすみません。」
副:「あー、はい。別に。」
私:「これ良かったら。」持ってきたお菓子を差し出す。
副:「これ何ですか?」
私:「みなさんで召し上がって下さい。私、バタバタ辞めたので皆さんにきちんとお別れの品もお渡し出来ていなかったので。」
副:「あー、じゃ渡しときます。」
私:「今いるスタッフには挨拶したんですが、いないスタッフにもよろしくお伝え下さい。」
副:「あーはい。ってか、Iさんと2週間違いですよね?」
私:「あ、はい。」
副:「Iさん、お腹ペタンコですよ?めちゃめちゃ出てるじゃないですか。」私のお腹をジロジロ見ながら。
私:「…。」
主人:私が黙ったのを察して「Iさん大丈夫ですか?」
副:「頑張ってますよ。具合めちゃめちゃ悪くても頑張ってますよ。つわりあっても頑張ってる人もいますよ。」
私:「はぁ。」
主人:「じゃ、忙しそうなんで失礼します。」
私:「お忙しいのにお邪魔してすみませんでした。」
こうして最悪な気分で元職場をあとにしました。もう手が震えていました。叫び出したい気分でした。
私は誰しも耐えているつわりを理由に辛い辛いと言っている。太りすぎてお腹が出すぎている。
言われたくないことを、畳み掛けるように言われたことが悔しくて悔しくてなりませんでした。主人がかばってくれなかったことも腹がたちました。辛すぎて、どうにかして罪悪感を感じさせてやりたいとさえ思いました。妊娠しているにも関わらず、痩せれない自分にも腹がたちました。もう全てが嫌でした。今も苦しんでいます。
それから主人とも何度も喧嘩し、話しましたが、生活がかかっているため辞められず、辞めないためにも副支配人の機嫌をこれ以上損ねる訳にはいかないとのことでした。何度話し合っても同じです。主人が辞めれば私の気はすみますが、生活が不安定になります。離婚したくないのに、私がイライラしだすといつも喧嘩になり、最後には離婚の話になります。
元同僚達も連絡してこなくなり、周りから孤立してしまいました。私が辞めるときに泣いてくれた後輩との縁も切れてしまいました。私の味方はついに誰もいなくなってしまったのです。世の中ってこんなに冷たいのでしょうか。
妊娠7ヶ月ですが、もう死んでしまいたい気持ちにたびたび襲われています。同じ職場にいたIさんとの対比で余計に自分がみじめに感じてしまうのです。
私は赤ちゃんを産んで幸せになれるのでしょうか。
その後、主人は転職活動を始め、私も産後働く準備をしています。マタハラはただ女性が仕事を失うだけでなく、金銭問題や夫婦関係のこじれにまで発展してしまいます。私のように職場結婚でマタハラにあい、悶々としている人がたくさんいるような気がしますし、ホテル業界は産休をとりにくいようなのでホテル業界の人にもマタハラを知ってもらいたいと思います。