全ての記録を残していたことが功を奏し無事復帰へ

ハラスメント相談室および労働組合には、前年夏以来すべての出来事・経緯を報告して記録してもらっていました。事が進み始め、実際的に私自身の進退に影響を及ぼすおそれがあると感じたため、労働組合を通して、職場の長より2階級上の部長級に訴えを申し出ました。係長級までしか同じ部屋にはいないため、まずはこちらの言い分とこちらから見た状況を、少なくとも知ってほしいと思ったからです。
私自身は、産休中の業務に支障が生じないよう十分配慮および相談を(職場の長に)してきており、復帰後は元の職務に戻りたい、と、望んだことは唯それだけでしたので、他に、担当業務を減らされるような重大な過失をした事実や評価が無いにも関わらず、事務室を追い出されるような仕打ちには、黙っていられませんでした。

産休補助で雇うパートさんの面接の際、『(Sさんが)戻ってきても、席はないけどね』と彼が言った言葉を複数の職員が聞いており、マタハラと感じたとして、私に協力してくれました。
彼と、彼の言いなり状態の係長と、彼に盲目的に従っていた職員の3人以外は、私に協力してくれ、産前休暇に入る直前まで、親身に相談に乗ってくれ、就業時間後に残って対策のための話し合いを開いてくれたり、相談室に同行してくれたり、係長に直談判(復帰後の席移動を撤回してほしい旨)する際も同席・助言してくれたりしました(この会談の際は録音し、労組に提出しました)。

その後、事態は中途のまま、産休に入ることになりました。出産後、復帰まで2週間ほどとなった頃、彼の異動が決まったと知らせを受けました。他部署へ異動となったことについて本人は嬉しそうだったし、これは予定されていたことだと組合関係からは知らされました。のち、異動先では長期療養→退職者の交代要員を手配する必要があったと知り、ただ、こちらが何かしら声をあげたことによって、彼が異動候補者としてリストアップされた可能性はあるかもしれないと感じました。
報を聞いて、産後休後半は違った心境で過ごすことができ、復帰後はストレスを感じることなく、勤務することができました。

一連で重要と感じたことは、記録をまずは個人的にとること、記録を公的(?)機関に残せるのなら積極的に残しておくこと、相談機関への相談実績を残しておくこと、同僚に相談し協力してもらうことは重要だが発端や途中経過において感じ方や解釈の仕方、取るべき行動についての考え方などは人それぞれなので、同僚の反応に一喜一憂しないこと、大切な戦力となってくれる大切な仲間であることには代わりがないので、相手(同僚)との関係性を切ってしまわず、孤立しないことは重要。等々

また、自分の考え方・感じ方に、少なからず自信を持って臨むことも重要かと感じています。私とともに相談センターに通った同僚(非正規)も、嫌がらせを受けており、しかし少人数の職場で少数派の立場では、己の感じ方や考え方の方が、おかしなものなのではなかろうか?と途中で思ってしまうこともある、という思いを共有していました。これは、ハラスメント相談センターにて相談をしている中で、その都度修正してもらっていたようなものです。

さらに、別の正規職員で、彼から私よりもある意味きつい嫌がらせを受けていた女性もいましたが、事を大げさにしたくないとか、対峙する勇気がないとかいう思いを聴いており、私たちも相談に行く際あまり彼女のことは盛り込まないようにしていました。正直なところ多少残念には感じていましたが、そこまでは関与したり強要するような立場ではないと思いました。

あらゆる職場において、なにかあったとき、訴えた者の望みをすべてそっくり叶えることが大事なのではなく、なぜ訴えているのか、その気持ちをまずは聞くことが最も重要で、その姿勢無しには、これらの事象(雇用側が嫌がるいわゆる揉め事)はいつまでも発生をゼロにはできないだろうと思います。そして原則原職復帰を守った上での誠意ある交渉が行われる処から、(周囲を含めた)働く者の意欲と企業の利益の向上につながっていくだろうと考えます。
仕事を休むのは妊婦だけではありません。傷病、看病、介護、様々な理由があります。
あなたは私だったかも、私はあなただったかも。想像力はあと少し必要なだけだと思う。そしてどうか泣き寝入りはしないでほしい。話せば味方は必ず見つかります。