<体験談 ゆかさん 1>有休取得も許されない職場に限界を感じ、退職を決意

私は今年春に妊娠がわかり、その翌月退職致しました。退職に至る経緯、退職後の精神的苦痛により現在も考え込む毎日です。

退職した職場はビジネスホテルで、主人とは今年2月に職場結婚しました。主人は私と結婚する同時期に正社員となり系列ホテルに異動、私はそのまま契約社員として元のホテルに残りました。

職場ではパワーハラスメントがありました。夫婦で雇ってやっている、配偶者のミスは責任をとれ、謝れという風潮が辛く、しかし辞めたら主人への風当たりが強くなると思い退職する勇気が出ませんでした。また妊娠しても契約社員に産休はないと副支配人に聞いていました。いずれ妊娠して円満に退職することも考えていたところ、本当に妊娠しました。

妊娠はすぐに支配人(男性)に報告しました。自宅で妊娠検査をして陽性反応でしたが、腹痛があり(結局膀胱炎でした)、勤務中に病院に行ったため事情を説明しなければならず、また夜勤シフトがある仕事なので出来れば外してほしかったからです。まずは祝福してもらえましたが、まだ5週目だったため周りには伏せてほしいとお願いしました。

翌日、副支配人(女性)に報告しました。
「で?今何カ月なの?で?膀胱炎って、それは妊娠したからなの?」

そういう口のきき方しか出来ない人だとは思っていました。周りに伏せてほしいということも「○○ちゃんには言った方がいい」と、秘密にしてほしい私の気持ちを全く分かってもらえませんでした。妊娠初期は不安定な時期で、お祭り気分で過ごすことは出来ないということも理解してもらえませんでした。私が伏せてほしいと言ったことから、「夜勤は減らすけどいきなり夜勤を外したら周りが気づくから」と私が夜勤の日は、副支配人がホテル内に宿泊することになりました。

まだまだ妊娠して間もないにも関わらず、私は倦怠感と動悸に悩まされていました。そして、遅刻や早退することが増えました。もちろん早めに連絡はしています。文句言われることは分かっているのに我慢出来ませんでした。それくらい体が変でした。主人は体が一番大事なんだから無理せず休めと言いましたが、私は休むよりは辛くても出勤する方がマシだと思いました。

しかし、次の検診で「子宮頸癌の疑い」を告げられたのです。癌ではありませんでしたが、癌手前の「異形成細胞」があるため、総合病院へ転院すべきこと、また 要観察のためなるべく安静にすべきこと、出産後に治療するか妊娠継続するかも総合病院で精密検査をして判断すべきことを告げられました。

つわりの最中も夜勤をしましたが、夜勤明けの朝、副支配人が私の真っ青な顔色を見て「シフトを変更しましょう、夜勤は無理でしょう」と言いました。 気遣いに心から感謝しました。しかし副支配人はこうも言いました。
「これだけシフトころころ変えるとー。皆には夏バテって言ってますけど、何でゆかさんだけ早退してもいいんだ?っ て、とあるスタッフが言ってるんですよ。ゆかさんが許されるんなら、私もサボりたいって思ってしまうのが、まぁ世の中の普通の人の意見です。迷惑かけてるんで、周りの人にも妊娠してるって言って下さい。じゃなきゃ、納得しない。まぁ皆、薄々気づきますよ、これだけシフト変われば。家庭持ちの人にもシフト変わってもらってるんだから。」

言われた時は他のスタッフに申し訳ないと感じた一方、ここまで言われる意味が分かりませんでした。その日、早退するため一緒に夜勤したスタッフには妊娠した事実を告げました。そうするしかなかったのです。

有休を使うことは、インフルエンザにかかった時も許されず、過去有休を使いきって退職した人の悪口を言っているのを聞いたことがありましたので、私は有休を使わせてくださいとは言えませんでした。休めば勤務を振り替えるしかないのです。

異形成細胞の状態が悪ければ、通院回数が増えるとも言われていました。この妊娠がダメになって、次の妊娠がもし不可能だったら後悔してもしきれない。この会社で働くのはもう無理かもしれない。辞める前提で話すしかないと主人にも了解をとり、病気の話とつわりが辛い話をして、産休がないのならば臨月での退職より早めの退職をお願いしたいと遂に副支配人と支配人にお願いしました。あと一ヶ月半くらいは働くつもりでした。

念を押すと、正社員じゃないと産休はないと聞いていたのです。体調不良でも有休もとれませんでした。退職したいとお願いする他ないくらい精神的に追い詰められていました。

(つづく)

ペンネーム:ゆかさん