<体験談 Fさん 2>労政事務所のあっせんを利用したけれど

その年は、ちょうど新卒でもった学生がやっと最終学年の3年目になり、国家試験を控えている大事な最後の1年間でした。どうしても戻りたい、どんなに学生たちも不安だろうと思うと、どうしてこんな時に妊娠してしまったのだろうとも思いました。また、どれだけ学生のためを思って昼も夜も頑張ってきたか、今迄やってきたことが「妊娠した」という事実だけで、ゼロどころか、とことんマイナスになってしまうことが本当にショックでした。

もともと元気な方だったので、今迄感じたことのない状態にある身体もとても不安でした。自分の身体なのに、どうなっているのかわからない……。 

それでもここであきらめて辞めてしまったら、自分が悪いことになってしまう。それでは今迄やってきたことが水の泡となってしまうと感じました。もしこれから産まれてくる子どもが女の子だったら?その子が大きくなった時、そんな社会を手渡したくない、と強く思いました。 

まずネットで労働相談に乗ってくれるところを探し、労働組合の無料相談に電話しました。すると労政事務所(現在の労働相談センター)が良いのでは、と教えて頂き、労政事務所に電話相談。その上で、事務所まで行って詳しく話しを聞いてもらい、「妊娠による不利益扱い」ということであっせんに入ってくれることになりました。 

ところが責任者は理事長なのにそういう場には一切出て来ず、代理で対応する方は状況も、問題もわかっていない。 

そのうち「妊娠で解雇」というのはまずいとわかり、また「連絡不行き届き」、つまり欠講を書面で出さなかったのが問題だったなどと言い出す始末でした。そんなことはいわれたこともなく、そう記された就業規則など、みたこともありません。 

何度かあっせんをしても埒が明かず、結局後期の授業にも戻れないまま年を越して出産となりました。

その後、出産したことを上司の先生に知らせると、暫くして「新しい職場を探したらどうか」という話を突然され、3年という契約が終わるからといわれました。さらに「弁護士を雇うと言っていたから、もめるのはためにならない」と脅されました。 

そこで、労政事務所の方や知人の勧めもあり、個人加入できる「女性ユニオン東京」という労働組合に相談に行くことにしました。

(つづく)

ペンネーム:Fさん
対処方法:労働組合に相談 労政事務所(労働相談センター)に相談