<法律相談>契約社員の育休に上司が反対

ご相談

現在、育休中の契約社員です。
仕事に復帰した後に契約更新の時期を迎えるのですが、育休に入る前に直属の上司が難色を示していたので気になっています。
契約更新してくれないのではないか、もしくは妊娠や育休取得ではない理由をつけて処分を受けるのではないかと不安です。そのような不利益があった場合はどう対処すればいいでしょうか。

弁護士からのアドバイス

こんにちは。
お問い合わせありがとうございます。

有期契約を不更新(雇止め)とされた場合でも、以下の①~③の要件を満たせば、労働契約法19条により、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。

要件①
   有期契約労働者が契約更新の申し込みをした場合又は期間満了後遅滞なく有期労働契約の申し込みをした場合
要件②
   過去に反復して更新されたものであって、雇止めをすることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められること
又は
   有期労働契約の契約期間満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものと認められること
要件③
   使用者が当該申し込みを拒絶することが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき

あなたの契約は、今まではほぼ自動更新だったとのことですので、②を満たす可能性があります。

そこで、あなたが実際に雇止めをされてしまった場合には、まず、使用者に対して、雇止めに対する不満、異議があることを伝えて、期間満了前であれば労働契約の更新の申し込み、期間満了後であれば遅滞なく契約の締結の申し込みをしてください。
これによって①の要件を満たします。

妊娠を理由に雇止めをすることは、客観的に合理的な理由を欠くことは明らかなので、③の要件は満たします。
しかし、使用者は別の理由をつけて雇止めをすることが多いので、その雇止め理由に根拠がないことを主張する必要があります。
そのための準備として、後から使用者が理由を付け加えられないように、使用者に、雇止めの具体的な理由を書面で明らかにするよう求めてください。

仮に、それでも雇止めされてしまった場合には、労働契約関係の存続を主張して、使用者と交渉し、提訴や労働審判を申し立てることが考えられます。

メールでのご相談ですと、情報が少ないため、必ずしも正確なアドバイスができない場合もありますので、契約更新の時期が近づいたら、早い段階で、弁護士に相談することをお勧めします。

〈東京法律事務所   弁護士  長谷川悠美〉