ボーナスの大幅減額!これってマタハラですか??

Q:夏の賞与後(ボーナス)に妊娠と流産で1ヶ月ほど入院した為、傷病休暇を取りました。その後すぐまた妊娠しましたが、つわりが酷く、産婦人科医の診断で1週間ほど傷病休暇をとり、勤務していました。
すると、冬の賞与(ボーナス)で、大幅に減額されてしまいました。
周りのスタッフより大幅に減額されたのを知り、事務に問い合わせたところ「1ヶ月休んでいたので減額になりました」という返答でした。
傷病休暇や欠勤ですでに減額された給料だったのに、賞与(ボーナス)まで減額か…とかなりショックです
これって、マタハラですか???

A:流産、そして休暇を要するほどの強いつわり、お辛かったですね。また、妊娠による様々な身体的トラブル自体は不可抗力であるところ、それによる収入減もショックなことですね。

さて、今年冬のボーナスの減額に関するご相談という理解で以下お答えします。
まず、以下に記載のある【賞与に関するポイント】をご確認ください。
ボーナス減額の理由は、「1ヶ月休んでいたので」という返答だったのですね。
【賞与に関するポイント2】の賞与に関する定めにもよりますが、【賞与に関するポイント4】のとおり、休んだ分に比例して減額すること自体は直ちに違法とはいえないでしょう。
「周りのスタッフより大幅に減額された」という印象を持っておられるのですね。
それが違法かどうかは、「大幅」と表現されている額の程度、これまでのあなたの受給実績など、【賞与に関するポイント4】のとおり、様々な観点からの検証が必要です。専門の弁護士に判断を仰いでみてはいかがでしょうか。 
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【賞与に関するポイント】
1 一般的に、賞与の支給や支給額については使用者の裁量があるとされますが、その裁量の幅は、使用者とあなたとの間の契約の中身によってきます。
2 そこで、契約の中身、ここではボーナスすなわち賞与に関する定めをご確認くださ
い。就業規則、賃金規程、賞与について個別の労働契約を結んでいる方は労働契約書な
どです。
3 2において、支給額そのものが既に約束されている場合(例えば、年俸の内訳としてボーナス分の額が定まっている場合など)や、ボーナスの計算方法が定まっている場合(例えば、例年、月給×1・5か月分としているなど)などは、その額の支給が約束されていますので、それを合理的理由なく減額することは許されません。
4 当該ボーナスの査定対象期間とその期間中休んだ日数をご確認ください。
休んだ日数分につき、例えば、本来賞与額から比例的に減額すること自体は、その間働き続けていた同僚らとのバランスなどの観点から、違法とは言えないでしょう。
違法となるかどうかは、様々な観点からの検討が必要であり、専門の弁護士に相談しましょう。
5 妊娠によってお休みしたとしても、査定期間中就労した日が一定数あり、かつ、職場同僚などにも通常どおり支給されているにもかかわらず、支給額をゼロとするのは、「妊娠を理由とした不利益取扱い」(男女雇用機会均等法9条3項)とみることができ、違法される可能性があります。
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(旬報法律事務所 弁護士 圷由美子)