ボーナス0円!これってマタハラですか?

Q:社長に付いていく人がいなく、全員退社して1人で仕事をしなくてはいけない日々が長く続き、身体を壊して入退院を繰り返しました。
限界を感じ退職願を出したのですが、その願いは受理されず、そうこうしている間に子供を授かることができました。
通勤に往復4時間もかかるうえ、つわり中の通勤は病院からも止められ、在宅で仕事をすることになりました。
在宅で仕事してる間は給料の70%しかもらってなかったのですが、そのうち60%になり、体調の良い日に会社に行く(長距離のため、始発で通勤)と、「在宅していた3ヶ月分は働いて帰れ!」と社長に言われ、嫌な思いをしました。
その後「休業扱いにして欲しい」と社長から頼まれました。
「保険からその分のお金をもらって、在宅で仕事は続けて欲しい」ということも言ってきたので、それに関しては休業なのに仕事しないといけないのはおかしいし、仕事している分は会社からもらうのは当然なので、お断りしました。
そしたら今度は、「妊娠して会社に来ていないので、お前はボーナスは0円」という電話がきました。
「マタハラだと思うのですが」と私が言うと、「業績の悪化で」と社長は言い換えましたが、業績は昨年同様ですし、他の社員がもらうなか、私だけ0円なのは業績悪化の理由になるのでしょうか?

「産前産後休暇、育児休暇を経て再度復職して欲しい」と社長に言われ、保育園も探していますが、こういう扱いの会社にまた身を置くべきなのかどうかも分かりません。

どう対処していいのか、誰に相談していいのか分からないので、ご相談させていただきました。
A:妊娠して会社にきてないので、ボーナス0円と言われたのですね。マタハラでは?という問いかけに、業績悪化と言い換えてくる、これもよくありがちな対応です。
こうしたやり取りには注意すべきポイントがありますので、できれば、事前にマタハラNetにお声かけいただくか、専門の弁護士にご相談していただきたいものです。
さて、賞与に関するご相談が多いため、以下、ポイントをまとめてみました。
まずご覧ください。

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【賞与に関するポイント】
1 一般的に、賞与の支給や支給額については使用者の裁量があるとされますが、その裁量の幅は、使用者とあなたとの間の契約の中身によってきます。
2 そこで、契約の中身、ここではボーナスすなわち賞与に関する定めをご確認くださ
い。就業規則、賃金規程、賞与について個別の労働契約を結んでいる方は労働契約書な
どです。
3 2において、支給額そのものが既に約束されている場合(例えば、年俸の内訳としてボーナス分の額が定まっている場合など)や、ボーナスの計算方法が定まっている場合(例えば、例年、月給×1・5か月分としているなど)などは、その額の支給が約束されていますので、それを合理的理由なく減額することは許されません。
4 当該ボーナスの査定対象期間とその期間中休んだ日数をご確認ください。
休んだ日数分につき、例えば、本来賞与額から比例的に減額すること自体は、その間働き続けていた同僚らとのバランスなどの観点から、違法とは言えないでしょう。
違法となるかどうかは、様々な観点からの検討が必要であり、専門の弁護士に相談しましょう。
5 妊娠によってお休みしたとしても、査定期間中就労した日が一定数あり、かつ、職場同僚などにも通常どおり支給されているにもかかわらず、支給額をゼロとするのは、「妊娠を理由とした不利益取扱い」(男女雇用機会均等法9条3項)とみることができ、違法される可能性があります。

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 あなたの場合、ボーナスは0円とのこと、業績は昨年同様、他社員ももらっている、ということ、在宅で働かれている時間、他の社員がもらっている金額などにもよりますが、5記載のとおり、違法とされる可能性があります。
  
「こういう扱いの会社にまた身をおいておくべきかどうかもわかりません」とのこと。
①退職を認めないとしている点(退職は自由、一方的意思表示で効果が生じますので、会社の承諾は無用)
②給料を一方的に減額している点
③働いているにもかかわらず休業扱いにしてほしいなどと申し入れてくる点など
いずれも法的に問題ある対応ばかり。また、「在宅してた分の3か月分ははたらいて帰れ!」などという発言には、社長の労働者に対する姿勢そのものが見て取れます。
こうした行為について何ができるかということと、就労を継続し、産前産後休暇、育児休業を取得、その後どうするか、ということは別の角度から冷静に判断せねばなりません。
また、待望の命を授かりながら、ご自身の将来について不安を抱えた状態というのは、とても辛いことです。
どうか、おひとりで悩まず、一度マタハラNetにお声かけください。また、専門の弁護士にもご遠慮なくご相談ください。
(旬報法律事務所 弁護士 圷由美子)