<体験談 やすさん 14> 人事部長「仕事に戻って来るなら、妊娠9割諦めろ」
人事部長との面談は、二人きりで喫茶店で行われました。
人事部長は親会社から出向していて、取締役も兼ねており、実質会社を運営している人物でした。
私は人事部長に、自分が卵巣機能不全になったこと、産業医と主治医より次妊娠したら、安定期まで休むよう言われていることを伝え、「安定期まで休み、その後も契約更新することは可能ですか?」と尋ねました。(※順調に妊娠できれば安定期まで休むつもりはありませんでしたが、3度目の流産は何としてでも阻止したく、せめて切迫流産の状態になった場合は、きちんと休めるか確認したかったのです。)
人事部長は「医師の診断があれば、安定期まで休むことは可能。契約更新も可能」と言うも、その後、個人的意見を言わせてもらえば、という前置きをした上で「もう辞めたら」と1時間にわたり退職勧告をしてきました。
人事部長:「妊娠と仕事の両方とるのは欲張り」
「年齢を考えたら、身体を一番に考えるべき」
「お前は不器用な性格だから両立は無理」
「そんなに仕事を続けたいなら一度辞めて、出産して落ち着いてから戻ってくればいい」
“一度辞めて、戻ってくればいい”は退職勧告の常套句です。待機児童の問題を告げ、辞めたら保育園に入れず、もう仕事が出来ないのだと伝えましたが、
人事部長:「そんなことは知らない。自分は子育てはすべて妻に任せて来た。子どもつくる作業は好きだけどね」と言って笑いました。
A部長、C本部長からも退職勧告されている旨伝えると、「退職するよう言われて当然」と言われました。そして、最終的には人事部長に「仕事に戻って来るなら、妊娠9割諦めろ」と言われ、その場で、退職に同意させられます。「自主退職ではなく、解雇(会社都合退職)にしてください」とお願いすると、「そんなことしたら次の転職に不利なのにいいの?」と言われ、応じてもらえません。
このときの録音をしなかったことを、私は後悔しています。人事部長が退職勧告などするはずがないと思い込んでいたからです。
私以外にもこの人事部長から、「入社して1年は結婚するな」と言われた女性がいました。人事部長に産休・育休を報告すると「お前なんかが親になれるのか。戻って来るときは周りに迷惑掛けるのだから覚悟しろよ」と言われた女性もいたそうです。
人事とはそもそも“使用者と労働者の間に起こる様々な問題を解決する立場の部署”なのに、その長たる役割の認識がないように思えました。
帰宅して主人にこの件を報告すると、「そんなのおかしい!人事部長はどこにいるの?」といつもは穏やかな主人が珍しく怒っていました。
私も、退職に同意させられたことに納得がいきませんでした。
(つづく)
ペンネーム:やすさん
対処方法:社内相談窓口の利用 労働局雇用均等室への相談 弁護士への相談・依頼 労働審判